冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
どっくどっくと大太鼓のような心臓の音は、駆さんにも伝わっているはずだ。
するとふいに淡い息が耳にかかり、ハッとする。
「気が合う男はいたのか?」
「い、いませんでした……。駆さんといたほうが楽しいし」
彼の声に少しだけ躊躇うような色を感じる。
なるべく平静を装って答えると、包み込まれている腕の力が強まった。
「か、駆さんは、菅原チーフとお食事に行っていたんですか?」
「ああ」
こんなに強く抱きしめられていても、駆さんの返答がやっぱりショックだ。
嫉妬すること自体、勝手だということも分かっている。
自分で合コンに行くと決めて、駆さんの誘いを断ったからこんなことになっただけ。
もし自分の気持ちに正直になっていれば、私が駆さんと食事に行っていた。
「私と行くはずだったお店に行ったんですか……?」
「……違う」
嫉妬が抑えられず尋ねる。
きっぱりと言い切った駆さんはゆっくりと体を離すと、再び私の唇を奪った。
「んっ……! っ……」