冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
そう自分に言い聞かせながら、駆さんとお揃いでコップを買い店を出る。
帰り道に立ち寄った雑貨屋さんで、駆さんが身に付けているネックレスのブランドを見つけ、ブレスレットも購入した。
いつもお世話になっているお礼も込め、プレゼント用に梱包してもらい『THANKYOU』カードも同封してもらう。

(駆さん、喜んでくれるかな)

好きな人にプレゼントを贈ることがこんなに楽しいなんて知らなかった。

気持ちが高ぶったままホテルへと戻って来る。

(歩き疲れてくたくた……これからシャワー浴びて、適当にコンビニでご飯買おっと)

ホテルのロビーの向こうから、知っている顔が見えて私は思わずその場に立ち止まった。

「あれ、安奈ちゃん。お疲れ様」

「伊織さん、お疲れ様です」

今回の那覇のフライトは、伊織さんがコーパイとして同乗していたので、宿泊ホテルも一緒だ。
結婚の顔を合わせの時以来ぶりにちゃんと対面するので、少々恥ずかしい。
伊織さんは優しい眼差しで私に微笑みかけると、遠くの方を指さした。

「そうだ。積もる話もあるし一緒に夕食でもどうかな?」
< 108 / 145 >

この作品をシェア

pagetop