冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
冷汗をかいていると、伊織さんは目を細め口元をほころばせた。
「安奈ちゃん、駆のことが大好きなんだね」
「えっ!?」
「だってすごく幸せそうな顔で話すから」
伊織さんの言葉に激しい動悸が襲ってくる。
他の人の目からもそう見えるなんて相当重症だ。
照れ臭いけれど、より『駆さんが好き』という気持ちを受け入れられた気がする。
「はい、駆さんは大切な人です」
秘めていた気持ちを口に出すのが初めてで、かぁっと頬が熱くなる。
「よかった……実はさ、今日は安奈ちゃんに話したいことがあって」
伊織さんの真剣な声色に、動きを止める。
様子を伺うように視線を上げると、彼は笑顔で食前酒を一口飲み、小さく息を吐いた。
「俺ももうすぐ結婚するんだ。君の上司の菅原有紗と」