冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
感動もつかの間、客室センターにいた上層部の数人が駆さんの元へ向かうと話しているのが聞こえてくる。
すぐに流れていた涙を手の甲で拭い、勢いよく手を上げた。
「すみませーーん! 私も連れて行って下さい!」
「村瀬さん? あなたはここで待機……」
「私は駆さんの妻です! 三カ月前に結婚したのは私なんです!」
「はぁ?」
不機嫌そうに眉を顰めた上司の言葉を遮り、声を張り上げる。
一斉に視線を向けられその場が騒然とするが、私はお構いなしに深々と頭を下げた。
もう彼と結婚したことを隠したくない。
どれだけひがまれてもいじめられても、私の夫は駆さんだと堂々と胸を張りたい。
私は一生駆さんと居たいから。
「どうしても、彼の顔が一目見たいんです。お願いいたします!」
「彼女は本当に僕の兄と結婚しているんです。どうか今すぐ会わせてあげてくれませんか」
隣に居た伊織さんが助け舟を出してくれて、ようやく上層部の人も私の言っていることを信じてくれた。
「分かりました。村瀬さんも一緒に来てください」
「はいっ!」