冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

彼の甘い言葉を噛みしめた後、熱くなった顔でしっかりと頷く。
自然と頬が緩み、涙が止まった。

「私も、駆さんを愛しています。本当の妻にして下さい」

私の言葉に驚いたのか彼の肩が僅かに跳ねる。
ゆっくりと体が離れていき、自然と顔を上げる。
私を見下ろす駆さんの顔はほんのり赤みを帯び、優しく微笑んでいた。

「幸せだ、この人生で今日が一番幸せだよ」

「……大げさですね」

影が落ちる。
唇に柔らかい感触と体温を感じながら、心が真っ赤に灯った。
駆さんの幸せを更新していきたい。
毎日が一番幸せだと感じられるような、温かい家庭を築いていきたい。

そんなことを密かに願いながら、背伸びをして彼の首に腕を回す。
周りにはたくさんのクルーや会社の人が私たちが抱き合っているところを見てすごく驚いていたけれど、お咎めはなかった。
むしろその場で温かい拍手を送ってくれたくらいだ。

(生きてる中で好きな人と結ばれて、祝福されることは奇跡なんだ)

目の前に映るこの景色は、こんなにも美しく輝いている。
人を愛し、信じることができたからだ――。
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