冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

気持ちは分からないでもない。
人目もはばからず愛の言葉を交わし、キスしたぶりに再会するのだから。
私も伝染するように顔を沸騰させていると、突然指先に体温が触れドキンッと鼓動が跳ねた。

驚いて視線を落とすと、駆さんの長い指が私の指に割って入ってくる。

「すまない、待っていてくれたのが嬉しくて。会いたかった」

駆さんは身体を屈め私の耳元で囁くと、握った手を引いて廊下を突き進んでいく。

やはりこの人の行動は予測不可能だ。
照れたと思ったら強引に触れてきたりするし。
でも……自分でもびっくりするほど、彼の体温を感じていることが嬉しい。

「あの……っ、ご飯も用意できていますし、お風呂も沸いてますよ。どちらか好きな方で」

駆さんの背後からそう呼びかけると、彼はリビングの壁に自然な流れで私を追いつめた。
いい香りに包まれ、彼の体温に挟まれて、心臓は破裂しそうだ。
数十センチ上にある彼の大きな瞳はうっすらと細まり、熱を帯びている。
瞳の奥の光が私だけに向けられているようでカーッと頬が熱くなった。

「その前に、さっきの続き……したい」

「さっきのって、ん……!」

私が訊ねるより早く駆さんの指先が唇に触れてくる。
ふにふにと弾力を確かめられた後、彼は指先にほんの少し力をこめて私の口を開いた。

「キスしていいか、安奈」
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