冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
全力で抗議すると、五十嵐さんも動きを止める。
必死だった彼は少しずつ表情を無くし、私の瞳をまっすぐ見つめてきた。
(ほらほら、そんなに怖い顔して……ようやく冷静になってくれた)
内心ホッとしていると、彼は大きな手で私の手をそっとどかし、なぜか顔を近づけてきた。
「別に好きでもないが、嫌いでもない。俺の恩を買ったと思って結婚してくれ」
「はい! ……え?」
うっかり答えてしまった私に、彼は目を細めやわらかい笑みを浮かべる。
「本当か? 村瀬にしか頼めない」
「ちょっ、前言撤回です、間違え……」
「わかった。君にいくらか支払おう、それに家賃、光熱費、食費、交友費もすべて受け持つ。これでどうだ?」