冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

突然舞い降りてきた、魅力的な提案にぐっと口をつぐむ。
すると五十嵐さんは真剣な表情で、畳みかけるように私に諭してきた。

「村瀬の戸籍を借りることになるんだ。その対価として、君が満足する内容で契約しよう。それにうちの家は羽田から電車で二駅のシータワー芝浦だ。コンシェルジュにタクシーの手配も、クリーニングも頼める、マンションにはスーパーもジムもバーも設置されている。クルーが働きやすい環境だとは思うが」

体が小刻みに震え、ごくりと喉を鳴らす。
家賃光熱費が浮けば、家族への仕送りを増やせる。
客室乗務員は体調管理が難しい現場ということもあり、家が職場に近くなれば俄然体が楽になるだろう。
しかもセキュリティとサポート体制が抜群のタワマンだ。

思いきり『YES』に天秤が傾いたけれど、必死で踏みとどまる。

「で、でもおかしすぎます。結婚ってこんな簡単に決めていいわけない！　付き合ってもいないのに」

「なぜだ。お互いに利害が一致していれば問題ないのでは？」