冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
お母さんの電話を切って、大きなため息をつく。
さっきまで明るかった視界が、曇りみたいに暗い。
体力はなんとかなっても、仕事を増やす時間の余裕なんてあるのだろうか。
手っ取り早く短時間で稼ぐとなると、おのずと夜の仕事が残るだろう。
(副業して会社にバレたらどうなっちゃうんだろう。大好きなこの仕事を辞めなくちゃいけないの?)
これまでもいろんなことを我慢してきて、頑張っていればこの苦しい生活も終わると信じていたけれど、神様は優しくなかった。
暗い気持ちで座っていると、ポンッ!と勢いよく肩を叩かれた。
「ぎゃぁっ!?」
「やっぱり安奈だぁ、こんなところで会うなんて奇遇だねぇ!」
「真由子!」
目の前に現れたのは、同期の真由子と長身の優しそうな男性だった。