冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
体を洗っていると、視界の端で薬指のダイヤがキラリと光った。
引っ越し作業中に無くしてしまうのを恐れて、今日はイレギュラーに嵌めていたのだ。
そう――私が結婚したことは、ほとんどの人が知らない。それは仕事のやりやすさを考えて。
結婚していることを隠し通している私に対し、駆さんはあえて職場でも結婚指輪をはめている。
それは契約結婚の理由のひとつである『女性からの受けたくない誘いを断るため』だ。
彼から結婚報告を受けたクルーやグランドスタッフの数々の涙が忘れられない。
(ま、結婚しただけなんだけどね。本当に)
それ以上でも以下でもない、ただの同居人だ。
あれから私たちの距離はさほど縮まっていない。
お互いの家族に会う手前、呼び方が苗字から名前に変わったくらいだ。
「うっわ、もうそろそろ帰って来る」
色々考え事をしていたら三十分近くシャワーを浴びていた。
洗面台に置いてあったタオルに手を伸ばし、ざっと体の水滴を拭いて下着に着替える。
大急ぎでスエットのパンツに片足を入れたところで、ガチャッと目の前の扉が開かれた。
「安奈?」
「ぎゃああああああああああああああああああああ――‼」
引っ越し作業中に無くしてしまうのを恐れて、今日はイレギュラーに嵌めていたのだ。
そう――私が結婚したことは、ほとんどの人が知らない。それは仕事のやりやすさを考えて。
結婚していることを隠し通している私に対し、駆さんはあえて職場でも結婚指輪をはめている。
それは契約結婚の理由のひとつである『女性からの受けたくない誘いを断るため』だ。
彼から結婚報告を受けたクルーやグランドスタッフの数々の涙が忘れられない。
(ま、結婚しただけなんだけどね。本当に)
それ以上でも以下でもない、ただの同居人だ。
あれから私たちの距離はさほど縮まっていない。
お互いの家族に会う手前、呼び方が苗字から名前に変わったくらいだ。
「うっわ、もうそろそろ帰って来る」
色々考え事をしていたら三十分近くシャワーを浴びていた。
洗面台に置いてあったタオルに手を伸ばし、ざっと体の水滴を拭いて下着に着替える。
大急ぎでスエットのパンツに片足を入れたところで、ガチャッと目の前の扉が開かれた。
「安奈?」
「ぎゃああああああああああああああああああああ――‼」