冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
せっかくだから話しかけると、彼は少々驚いた顔をする。

「福岡から那覇、そこから中部でステイ。君は?」

久し振りに会話が続いているので、内心ちょっとだけ嬉しくなる。

「私はソウル便です。ステイが長いのですっごく楽しみで。久しぶりに街でサムギョプサルもいっちゃおうかなって」

大好きな韓国に想いを馳せながら話していると、駆さんは表情を変えずタブレットの電源を落とす。

「確かに韓国料理は上手い……俺もあっちの食い物は大体好きなんだ。食べ過ぎには注意しろよ」

「えっ。は、はい」

横を通り過ぎてゆく駆さんを呆然と見つめる。
彼の口から気を遣う言葉と、プライベートな話が飛び出したのは初めてだ。

(もしかして、ちょっとずつ心を開いてくれている……⁉)
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