冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

淡い期待を抱きつつ更衣室で制服を脱いだ私は、真由子と一緒に洗いに出すためにクリーニングルームへと向かう。

「ねぇねぇ、旦那さんの写真見せてよぉ。十歳くらい年上なんだよね、渋い感じなの? 雰囲気だけでもいいから~」

真由子は興味津々といった顔で覗き込んでくる。
駆さんの写真は記念で撮った袴と白無垢で映っているものしかない。
ぜっっったいに見せるわけにはいかない。

「ごめん、マジで持ってないの。濃い顔だよ、眉毛も釣り上がってるし眼光が鋭くて、彫りが深くて……」

「ってかそれ、五十嵐さんみたいじゃない⁉」

真由子にするどいところを突かれ、ギクリと心臓が跳ね上がる。
でもすぐに「あんなイケメン早々いないか~」と考え直してくれたのでほっとした。

(はぁ、こんな調子で隠し通すことなんてできるのかな)

げっそりしながら廊下を歩いていると、いつの間にかクリーニングルームに到着していた。
真っ白な簡易扉を開こうとしたその時、中からクスクスと明るい声が聞こえてくる。

「駆はホント照れ屋なんだから、しっかりしなさいよ」
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