冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
笑顔を見せてくれたとしても、何か企んでいるような怖い笑みしかない。
でも、でもだ。
こんな私でも、ほんの少しだけ前より話せるようになってきているのだ。
さらに今夜は駆さんが家にいるっぽいし、真由子が提案してくれた作戦を実行するにはもってこい。
上手くいけば菅原チーフとの関係を聞けるだろう。
あれから私は真由子と別れ、芝浦のマンションへと帰宅する。
玄関には駆さんの革靴が置かれており、廊下の突き当りにある磨りガラス越しにリビングの光が零れ出ていた。
「ただいま帰りました、駆さん?」
笑顔で部屋の扉を開くけれど、彼の姿は見当たらない。
家のどこかにいるはずなので、先にお土産を用意しておこうと思いつく。
その場でスーツケースを開き韓国料理のインスタント食品やお菓子を取り出していると、ガチャッと目の前の扉が開いた。
「! 帰っていたのか」
「駆さん……! お疲れ様です」
私を見つめる彼は、いつもの様に表情が見えない。
こちらが笑いかけても特にリアクションはなく気まずい気持ちになる。
(でも部屋着だ。ジムに行く予定はないんだ)
『いっしょに映画を観ませんか?』――その一言を言うために、大きく息を呑んだその時だった。
彼は私にくるりと背を向け、ドアノブに手を掛けた。
「……じゃあ俺は少し出る」
「ちょ、ちょちょちょーーーっと待ってください」
とっさに走っていくと、彼は身体を斜めにして私を見下ろす。少々驚いたように目を僅かに開いていた。
「あの。よかったら今日は、いっしょに映画でも観ませんか?」
「え……何故?」
でも、でもだ。
こんな私でも、ほんの少しだけ前より話せるようになってきているのだ。
さらに今夜は駆さんが家にいるっぽいし、真由子が提案してくれた作戦を実行するにはもってこい。
上手くいけば菅原チーフとの関係を聞けるだろう。
あれから私は真由子と別れ、芝浦のマンションへと帰宅する。
玄関には駆さんの革靴が置かれており、廊下の突き当りにある磨りガラス越しにリビングの光が零れ出ていた。
「ただいま帰りました、駆さん?」
笑顔で部屋の扉を開くけれど、彼の姿は見当たらない。
家のどこかにいるはずなので、先にお土産を用意しておこうと思いつく。
その場でスーツケースを開き韓国料理のインスタント食品やお菓子を取り出していると、ガチャッと目の前の扉が開いた。
「! 帰っていたのか」
「駆さん……! お疲れ様です」
私を見つめる彼は、いつもの様に表情が見えない。
こちらが笑いかけても特にリアクションはなく気まずい気持ちになる。
(でも部屋着だ。ジムに行く予定はないんだ)
『いっしょに映画を観ませんか?』――その一言を言うために、大きく息を呑んだその時だった。
彼は私にくるりと背を向け、ドアノブに手を掛けた。
「……じゃあ俺は少し出る」
「ちょ、ちょちょちょーーーっと待ってください」
とっさに走っていくと、彼は身体を斜めにして私を見下ろす。少々驚いたように目を僅かに開いていた。
「あの。よかったら今日は、いっしょに映画でも観ませんか?」
「え……何故?」