冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
(な、何故って?)
質問が返って来るとは思っていなかったので、一瞬頭がパニックになる。
が、すぐにスーツケースの周りでとっちらかったお土産をいくつか手にし、私は彼の元へ戻った。
「これは?」
「韓国のお土産です。駆さん韓国料理好きって言ってましたよね? お菓子も色々ありますし一緒に食べながら映画でもと思ったんですけど」
「…………」
勢い任せに伝えてみるけれど、彼は受け取ったお土産をじっと見つめるだけで、何も反応してくれない。
「わ、私、駆さんともうちょっと仲良くなりたいなって思ってます! 知り合って長いし、同居もしてるのにまともに話したことがないじゃないですか? だからっ……」
「ありがとう。お土産は受け取っておく」
はっきりと言葉を遮られ、口をつぐむ。
動揺する私を見て、彼はすぐにドアノブに手を掛けた。
「君もフライトで疲れているだろう、ゆっくり休むといい」