冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

とその時、突然伊織は励ますように背中を叩いてきた。

「駆、ちゃんと安奈ちゃんに好きって伝えているのか? 女の子は言葉にしないと安心できない生き物なんだよ」

「ああ、そうだったな」

思いの丈を伝える前に、彼女の警戒心を解かなくては。ただの同居人から、一番信頼できる男になりたい。

(次に会えた時は、必ず傷つけたことを謝る。そして安奈と仲良くなりたいと伝える)

あれから数時間後――。
花屋で向日葵の花束を買い、帰路に就く。
これは伊織のアドバイスに従った結果だ。もちろん愛の言葉を添えてと付け加えられたがそれはまだ早い。
それに花なら、帰宅時間がズレていても見てくれるだろうと思った。

(少しでも生活に色どりを取り戻したい。安奈の気持ちが少しでも明るくなれば……)
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