冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
耳に届いたか細い声に、胸が締めつけられる。
彼女の顔を見つめていると、やがて寝息を立て始めた。
ずっと目をつむっているので、起きているのか寝ているのか分からない。

(寝言、なのか?)

止まっていた時間が、徐々に再開する。
聞き間違いでなければ彼女は俺の名前を呼んでいた。そして『寂しい』と。

「安奈……好きだ」

今まで必死で抑えていた理性のストッパーが外れ、無意識のうちにソファに手を掛ける。
もう片方の手で彼女の小さな顎を掴み、ぐっと顔を近づけたその時。
目の前の長いまつ毛が小刻みに揺れた。

「ふぁ~」

背筋が冷えていくのを感じていると、ものの数十センチの距離で丸い黒々とした瞳と目が合った。

「かっ、駆さん⁉⁉」
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