冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
近距離
それから私の希望により、駆さんが空いた時間に外国語を教わることになった。
スケジュールを合わせ、決まった日にちで実施する。
それに伴いカレンダーをリビングに設置して、お互いのシフトを書き込むようにした。
シフトを把握することで、すれ違いの日々が大きく変わった。
彼が長期フライトから帰ってきたと分かっていれば、疲れを気にして話しかけないようにと気遣えたし、帰ってくる前に私が家事は済ませて置くことができたし。
一方駆さんも同じで、私がフライトに出ている間に掃除をしてくれていたりするし、私がどこへフライトに行ったのかを知っているから、仕事の話題を持ちかけてくれるようになった。
それに……あの日以降、花を買ってきて、飾ってくれる。彼が前向きに私と生活してくれることを肌で感じて嬉しかった。
こうして穏やかに仮の夫婦生活は過ぎてゆき――。
「ここはLLの発音で。もう一度言ってみてくれるか?」
「はい」