冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

「村瀬ちゃん、復活おめでとう」
「ご心配をおかけしました……」

まだまだ夏が尾を引く、九月初旬――。
制服を着た私は、フライト前にグリーフィングルームに集まったクルーの前で深々と頭を下げていた。
本日、一週間ぶりの出勤だ。

というのも……駆さんに熱を指摘された後、ひどい夏風邪をこじらせ療養のため病気休暇を頂いていたのだ。
その間、食料の調達など駆さんには何度かお世話になってしまった。
この二日間の国内線のフライトが終われば翌日はまるっきりオフなので、
ちょうどその日の夕方に、ニューヨークから戻って来る駆さんへ、お礼に晩御飯を振舞う計画をしている。

すると、私の謝罪を受け入れていたクルーの中に、替わりに出勤してくれた三上先輩と目が合った。
彼女はにっこりと私に笑いかけた後、ツカツカとヒールを鳴らしながら私の前にやって来た。

「!?」

「村瀬ちゃんのおかげで、狙ってたイケメンとのデートがおじゃんになったのよ」

「ええ!? ご、ごめんなさい」

三上先輩は私の肩に腕を回し、悪魔のような顔で囁いてくる。

「ちゃーーーんと、責任はとってくれるわよねっ?」
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