冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

（お、幼なじみ⁉）

予想とは遥か斜め上をゆく返答が返ってきて、言葉も出てこない。
すると駆さんはカプレーゼをスプーンですくい、もぐもぐと咀嚼する。

「有紗は少し年が離れているが伊織と同学年で妹のように接していた。今ではチーフパーサーにまでなって、しっかりしてしまったが……それに彼女は、伊織とけっ――……」

駆さんはそう言いかけ、ハッと目を開ける。
その続きが気になって首を傾げていると、彼はゴホンと咳ばらいをして仕切り直した。

「笑えるだろ？　お隣さん同士が同じ職場で働いてるなんて」

「いや、すごいじゃないですか。そう簡単になれる職業じゃないし……お義母さんから聞きましたけど、伊織さんは駆さんを追いかけてパイロットになったんですよね。もしかしたら菅原チーフも？」

私の質問に、駆さんは動きを止める。

（あ。もしかして、お義母さんに聞いちゃったこと、言わない方がよかったのかな）

しまったと内心思っていると、私の予想に反して彼はフッと表情を和らげた。

「俺というより、父親の影響だと思うが。有紗の父はパイロットだったんだ。長い間現役で、俺も影響を受けてパイロットを目指し始めたし」

「えっ……」