冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
「はい……」
駆さんの暗い表情を見て、迷惑を掛けてしまうことに胸がちくりと小さく痛んだ。
確かに彼の言う通りだ。
私だけの印象じゃない、駆さんもあることないこと言われてしまう可能性もある。
「あの……、合コンは顔をちらっと出して帰ってきます。駆さんに迷惑もかけたくないし大事にしないように最善を尽くしますので」
「ああ、絶対にそうしてくれ」
駆さんは即答し、食べかけていた料理を黙々と口に運ぶ。
久し振りに強い口調で委縮してしまう。
(あ、喋ってばかりで沢山残っていたな)
急いで彼につられるようにして冷えたおかずを箸で掴む。
先程のいい雰囲気はぶち壊れ、代わりにお葬式のように暗い空気が漂う。
合コンの話は今じゃなくてもよかったかもと後悔していると、彼は食べ終わりそっと両手を合わせた。
「こうやって家で食事するのもいいが、時間が合えば外食にも行ってみないか?」
「ごほっ」
ついに喉にチーズを詰まらせる。
大急ぎでお茶を飲んで流し込み、まっすぐ前を向いた。
「か、駆さんと私で?」
「嫌か?」