冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
目が合った駆さんはうっすらと目を細める。
彼の瞳の奥はからかうように揺れているように見えた。
今日は驚かされっぱなしで心臓が持たない。
「いえ、嫌とかじゃないです。行きましょう、せっかく一緒に住んでるし……うん」
「じゃあ、いくつか店を探しておく。食いたいものとかあるか?」
「えっと……か、韓国料理とか」
「ああ、分かった。また日程は相談させてもらうよ」
展開が速すぎて頭がついていかない。
まさか駆さんから食事に誘われるなんて夢にも思ってなかった。
深い意味はないと思うけれど、やっぱりふたりきりで外食となるとちょっと意識してしまう。
「ごちそうさま。君はゆっくり食べていろ」
駆さんは食器を持って立ち上がる。
私の動揺したきっと赤くなっている顔に気付かないといいけれど。
(なんで、別にご飯食べに行くだけじゃん安奈。深く考えない! 彼と仲良くなった! 同居人として!)
そう言い聞かせながら、皿にわずかに残った餃子を口の中に放り込んだ。