冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

真由子と別れ、約束の場所である駐車場へと向かう。
既にすっかり外は薄暗く、火照った体にちょうどいい涼しい風が吹き始めていた。
顔合わせの際に何度も乗った黒のセダンを入り口から一番遠い場所に見つけ、バックで顔を隠しながら駆け寄る。

「はぁはぁ……駆さん、お疲れ様です」
「すまない。こそこそさせて」

助手席に乗り込んだ私を、彼はからかうような眼差しを向けながら顔をほころばせる。
先程は見せなかった柔らかい表情につられ、自然と笑みが零れた。

(駆さん、さっきの話聞こえてなかったのかな……よかった)

「駆さんも同じルートでフライトだったんですね」
「ステイの時に会わなかったのが不思議だな」

他愛のない話をしながら、ゆっくりと駐車場を出る。
すごく新鮮な気分だ。駆さんと一緒に会社から出て行き、同じ家に戻るなんて。
こうしていると、本当の夫婦みたい。以前顔合わせの時に一緒に車に乗っていた時とはまったく違う空気感を肌で感じる。
一旦話題が切れたところで、駆さんは一瞬私の方へと視線を投げる。

「この前言っていた外食だが、丁度明日はふたりともオフだしどうだろう?」

「え……」
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