冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする
瞬時に盛り上がっていた気持ちが沈んでいく。
「すみません、明日は……」
以前から決まっていた合コンの日なのだ。
せっかく駆さんが誘ってくれたのに、例の一件を理由に断ることは心苦しい。
落ち込む私に、駆さんは前を見据えながら小さく笑った。
「そんな深刻な顔をするな。またいつでも食いに行けるんだし」
「はい……また是非」
(それはいつになるのかな)
ここにきて、自分がひどく落胆していることに気付く。
思っていた以上に、駆さんと家の外にでることを楽しみにしていたのだ。
仕事のことや、まだ聞いたことがない過去のこと……色んな話を聞きたかった。
慣れない感情に戸惑っていると、赤信号でゆっくりと車が停止した。
大きな窓ガラスから赤信号のライトが差し込み、運転席にいる駆さんの顔に真っ赤なフィルムがかかる。
彼の野性的な鋭い目とそれが相まり、瞳の奥が炎で揺れているように見えた。
「……駆さん?」
「さっき聞こえてた。安奈は伊織がタイプなんだな」