純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その2



律也とユウトが住んでいる町で毎年恒例となっている、○○川での今年の花火大会は、9月下旬の土曜夜に開催された。


この花火大会には、律也が直接本会場である川原に出かけることは、ここ数年なかった。


というのも、小学校時代の同級生が花火を一望できる家に住んでいて、去年まで他の友人数名共に招待されていたのだ。
言わば、これも律也にとっては、毎年恒例ということになっていた訳だ。


無論、今年も小学時代の友人として誘われていたのだが…。
たまたま東京から小1のいとこが泊りがけで遊びに来ていて、仕事で手の放せない両親から、その子を川原に連れていってあげるようにと言いつかっていたのだ。


で…、その日の午後5時半、律也はいとこの女の子の手を引き、タクシーで河原へ向かった。


***


「わ~、きれいだねー、お兄ちゃん!」


律也にはとても懐いていていたカオリといういとこの子は、土手上からの打ち上げ花火に大喜びだった。
川原に到着して10分ほどは、二人手をつないで、しばらくは晴れた夜空に舞う絶景を見上げていた。


「…カオリちゃん、綿あめ食べるかい?」


「うん‼」


カオリの隣の子が綿あめをほおばってるのを、じっと見ていたいとこの様子を見て取った律也は、露店の並んだ表通りまで彼女と歩いていった。


すると‥。
綿あめの露店の隣で、たこ焼きを手にした、”両手に花”の小柄なユウトがが立っているではないか…。


「やあ、ユウト。こんばんわ」


「あれ、律也じゃん!はは…、君も来てたんだ…」


ユウトはちょっと驚いたといった表情で、やや慌てた様子だった。
彼の両脇の明らかに年上の女性二人も、そんなユウトを注視いていた。
そして‥。



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