純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その4



「実はさ…、君には謝らなきゃならないことがあるんだ。あのさ、背の低い方の髪染めた女性、オレの彼女なんだけど…」


「そうか…。ユウト、彼女いるんだ」


律也にユウトを奪われたとかの感情はなかったが、正直、どこか寂しい気持ちはあった。
先を越されたとか…。


***


「最近なんだよ。付き合い始めたのは…。まあ、兄貴と同級だから高校生だけどね。それで、同性とエッチな行為したって範囲なんだけど、兄貴経由で知られちゃってさ」


「そう…」


ユウトにとってはまさに告白だったが、律也は割と冷静に捉えられた。
彼の心を射止めた青島ユウトは、節操なくコアなプライバシーを触れまわる男ではないとわかっていたから…。


「まあ、兄貴には、同じ年代の男としてあくまで相談ってつもりでさ。やっぱ、ああいった行為で一線越えちゃったんで、いろいろ不安もあったんでさ。無論、名前は出してないし、トイレでの中のことはそう細かく話してないよ。だけど…」


「だけど何?」


「うん…。彼女、えらい興味持っちゃってさ。相手のカレ、絶対見つてたやるって…。今日、ここへ来るときも、行き会った友達の中に”その子”いればすぐわかるのよ、私って感じで…。まあ、その手のことにかけちゃあ、えらくカンが働くタイプだから…。たぶん、今の短いやり取りで君にピンときたと思う。それ、予め承知しておいてもらいたくて…。ゴメンな。あれは、二人の秘密にしなきゃいけないことなのに…」


「いいって…!それに、仮にオレがあの時の相手だってわかったって、彼女、それを吹聴したり、何かに利用するとかはないんでしょ?」


「ないよ。全くの個人的な興味本位のみだわ。…これも正直言うと、つい最近、彼女とは最後までヤッたんだ」


律也はそのことを自分から聞くつもりではいたのだが…。
やや唐突だったせいか、正直、動揺は隠せなかった。




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