純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その4



その週の土曜夜…。
河合律也と青島ユウトにとっては、”契りの場所”である児童館の入り口で、二人は落ち合った。


そこから5分ほど歩くと、閑静な住宅街の中の一角に佇む割と新しい一軒家に到着した。
藤巻ヨーコの家は、白い外壁の輸入住宅っぽい2階建てだった。


「ずいぶん、きれいな家だね」


「ああ。オレも1回しか来てないけど、何でも数年前に改築したんだって」


「へえ…。けっこうお金持ちなのかな…」


「らしいや。さあ、入ろうぜ」


***


”ピンポーン…”


門柱のインターフォンはテレビモニター付のようだったが、ヨーコは直接玄関から出てきた。


「ようこそ~、待ってたわ。どうぞ、入って」


どう見ても普段着には見えないカッコで出迎えてくれたヨーコは、二人を家に招き入れた。
一目で化粧したてとわかるヨーコは、香水の匂いもプンプン漂わせ、もはや今夜を期したモードは年頃の少年には透けて見えた。


***


「こんばんわ~」


「ああ、こんばんわ」


2階の部屋に通されたユウトと律也の目には、すでに到着していた、これまた”どこへお出かけよ?”といったいでたちの、チヅルの姿が飛びこんできた。


「もう準備万端よ。ユウトは、ここね。ああ、律也君はそこ。チヅルのとなりに座って。べったりくっついちゃってもいいわよ。アハハハ…」


「やだ、ヨーコ。夜は長いんだからさー。律也君、はい、ココどーぞ」


”もう酔っぱらってるのか?このお姉さんたち…”


律也は予想外にハイテンションなお姉さん二人に、初っ端、面食らってしまった。


***


「律也、じゃあ、掛けようぜ」


「うん…」


二人は”指定”された場所へ腰を下ろした。
すでにビールと豪勢なつまみ類が並んだガラステーブルには、ユウトとヨーコ、律也とチヅルがそれぞれ並んで座り、正面を向く陣形となった…。


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