純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その6



「このバカヤロー‼何やってんだー」


まさにチヅルの甲高い大きな怒声が藤巻家に響き渡った。


当然、隣室のパパのベッドでさぞ、お楽しみ中だったであろうヨーコとユウトも、チヅルのあまりの大声に何があったのかと、すっぽんのまま室内に飛び込んできた。


「何があったのよ⁉チヅル…」


「このバカ、ゴム着けしてるとこに顔射だよ‼」


「…」



部屋のとば口で裸のまま並んで、ボーゼンと立ち尽くすヨーコとユウトに、仰向けになっている律也の体にしゃがみこんでいたチヅルが振り返ると…。
見事に顔面半分が化粧済”になって、避妊具のゴムを握りながら振り返ったチヅルの全景が二人の目にどーんという感じで映った。


「アハハハ…‼」


「キャハハハ…‼」


目をつぶり、渋柿をかんだようなカオでのチヅルはある意味、美しかったが…。
ヨーコとユウトの二人は、ハダカのまま腹を抱えて笑っていた…。


一方…、マグロ状態で一人イキし、とんだオチをかましてしまった律也は、コトの次第が今一つかめず、トロンとした眼をパチくりさせるのみであった…。


とにもかくにも、河合律也は小橋チヅルという年上のエロい女に童貞を捧げた…❓
同時に、彼女は律也が歩みかねなかった、屈折した道程をも奪ったと言えまいか…。


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