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参姫鎮魂歌




満月の夜に


34

その夜、緊張で寝付けないとももの隣のごろにゃぁに満月の月光があたった。布団を被ってびくびくしていたとももに男の人の声がかけられた。ままよと振り返り目を開けると猫人間の姿があった。背は夢で見た男の人くらい痩せていて高かった。

35

「ともも、今から最初で最後の結婚をしよう」とイケボが耳に届く。「またたびを忘れたね」とウィンクするごろにゃぁ。その愛らしい大きな頭に向かって、とももは一生懸命に言った。「ごめんなさい。私、人間が怖いの」「だから猫人の方を選んだのだけど」「教科書に同種族じゃないと受精卵にならないって」「「だから」」ハモる。「結婚の契りは無効なの」と、とももは一生懸命言った。
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