電子商業誌企画文と絵(小説を読むボタンから見てください)

憑き物を落とす日







深夜に憑く物

1ウソつきは閻魔様に舌を引っこ抜かれるよ。

10だからアポ(面会約束)の話を一生懸命した。
単身赴任をしていた私は脳が上手く働かない為の欠勤が続き懲戒免職になったから、姉や元の職場の人達に「何か連絡」はなかったか?としつこく聴いていた。全て空振りだったのだが。
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12誘拐経験のある婚約者が言葉もわからぬ異国でどれだけ心配してるだろうと胸が痛かった。
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14面会約束をしたよ
と何度も脳裏に聞かされる私に「誰からも何も連絡なんか無いよ」と診察室で保護者面する姉に私は何度か耐えたのだが、婚約者の事を考えるとおかしくなってしまった。だから祈った。姉の口から俳優から面会約束があったと嘘でもいいから吐けと。
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15私の心に尋ねる知らない声は「なにがなんでも姉の口から吐かすのだな」
としつこく念をおした。私はただ頷いた。


17それから20年にはならない、骸骨が豚になってる今、犬達が亡くなり浸潤癌が完治するまで、家族に引き取られてる、つい先程でも私の口からは「何ぞ」の言葉が力強くあふれだす。脳裏に、耳に、喉からそれらが無理矢理にあふれだすのだ。無理矢理何度も何度も深呼吸をして、途切れさせるのが精一杯だった。呼吸ですら他人の言葉に聴こえた。無理矢理紡がれる声のため喉はカラカラになり、マシンガントークの為に何度もえづきそうになった。

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