結ばれない二人
しばらく空を見ていると「風邪ひくから、帰るか。」とあなたが立ち上がる。

すっかり冷えてしまったココアがまだ私の手に残っている。

「頂戴」
そう言って飲みきれなかったココアの缶を私の手からすっと取ったあなたは、豪快に飲み干す。

そして公園にあるごみ箱に捨てに行く。

少し離れたところからその缶をまるで野球ボールのように振りかぶってなげる。

見事にゴミ箱に入るとあなたはまた、無邪気に微笑んだ。

「帰ろう。」
あなたの言葉に私が立ち上がり、あなたが追い付く前に歩き出すと、すぐにあなたは私の右手を握る。
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