結ばれない二人
「先輩、明日の業務のことで相談があるんですけど。」
退勤して、ビルから出た俺の後ろから声をかけて来た松本。

ここに来てかよーと内心突っ込みを入れながら無視をするわけにもいかず振り向く俺。
「明日初めての外回りなんですがどんな格好で、どんな持ち物で来たらいいですか?」
そんなの男の俺が知るか!と思いながらも早く彼女を帰らせて自分も帰りたい俺。
「俺は男だから、女性スタッフに聞いてみるといいよ。今、連絡先教えるから。」
「ありがとうございます。」
俺は携帯電話を開いて、事務所の女性スタッフのアドレスを彼女に教える。

「あの、先輩迷惑ですか?」
上目遣いで俺を見る松本。
「迷惑?」
「先輩のお仕事をたくさん邪魔してしまって・・・きっと迷惑なんだろうなって思ったら余計にいろいろうまくいかなくて。」

彼女の言葉に俺は大反省する。
エレベーターに朝乗ったら気持ちを仕事モードに切り替えるって決めていた自分のルール。
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