結ばれない二人
なのに、守れなくて結果として新入社員に気遣いさせてる。
「そんなことないです。すみません、俺も新人の教育係は初めてで、いろいろへたくそで。」

俺は心から彼女に謝る。
せめてもの謝罪の気持ちを込めて、俺が伝えた女性スタッフからの折り返しの連絡があるまで、松本と一緒にいた。


やっと松本が帰ってから俺はすぐに走り出す。
自分の車をめがけて。

時々カフェの方を見るともう朱莉の姿がなかった。
いつも俺の車のエンジンをかけず、暖房をつけないで待っている朱莉。
また体調を崩したら大変だ。

階段を駆け上がり駐車場に着く。
車のキーを押してカギを開けた時、ルームランプがついて、誰も車に乗っていないことが分かった。
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