結ばれない二人
『覚えてるか?今日の約束。』
私に近づき、耳元でささやく修平。

きっと夢の中の私の耳は真っ赤になっているだろう。

『忘れんなよ?部活、時間通りに終わらせるからさ』
さすが時期部長候補。野球部のエース。

修平は昔から誰からも親しまれるタイプだった。
頼りがいがあるのに、近づきやすさが全身からにじみ出ているような人。

『大切な大切な話があるからさ』
そういう修平の耳が真っ赤で私は期待する。

この時の淡い期待に左右されて、私は約束を守ることしか考えてなかった。
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