結ばれない二人
片方の目が全く見えなくなってしまってから、平衡感覚に障害がでて、私はよく体調を崩すようになった。

それまで当たり前にできていたことが全然当たり前じゃなくなった。

片方の視力が残っているんだからいいって誰からも励まされたけれど、ふたつでバランスを保っていたのに、一気にバランスを崩した私。

事故のあと、私はパニック障害とも診断された。


「ごめん・・・」
修平の胸の中でもう一度ささやくと修平はありったけの力で私を抱きしめてくれた。
今だけは・・・。

そう自分に言い聞かせて、流れてしまった涙が彼に見えないように彼の胸にすがる。
修平の背中に手をまわしてすがりたくてもそれはできない。
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