結ばれない二人
今日は俺の会社でも飲み会があって、朱莉のカフェでも歓迎会があった。
会場が近かったから俺は、朱莉の歓迎会が終わるのを待って、一緒に帰ることにしていた。

少し酒を飲んでいる俺と朱莉。
俺は酒には強いほうだと思う。

酒を飲んで忘れたいことがあって、一時強い酒を飲み漁った日もあったけど、俺にはそれはできず、翌日の強い頭痛と胃の不快感しか残らない事実に、諦めたほどだ。

「朱莉?平気か?」
満員電車の中、扉の前に朱莉を立たせてほかの誰も触れられないように立ちふさがりながら、朱莉の顔色がどんどんと悪くなっていくのが気がかりだ。

飲まないで車を出せばよかったと後悔しながら朱莉に声をかける。
すると朱莉は俺の胸に、自分の額をもたれるようにあずけてきた。
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