結ばれない二人
目を閉じてあなたの胸に額をつけてもたれる。
すぐにあなたは私の頭にそっと手を乗せて「少しだけ我慢してて」と、優しい声でささやく。
私が落ち着くような、心地よいリズムで私の頭を撫でながら、あっという間に電車に乗っている時間が過ぎていく。


乗り物はどうしても苦手だ。

「降りよう。」
あなたにリードされながら電車を降りる。
あなたに守られながら、誰にも何にもぶつかることはなく、目を閉じていたら騒がしさ以外、満員電車だったことに気づかないくらい。

「公園で少し休もう。」
あなたの提案に私は足を止める。
「行くぞ」
あなたに手を引かれて、私たちは駅の隣の公園にあるベンチに座った。
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