結ばれない二人
「ちょっと待ってて。」
あなたはそう言って、どこかへ走っていく。
身長の高いあなたは長い足を最大限に振りだすようにして走り出す。

そんなあなたを見ながら私は遠い昔のあなたの姿を思い出す。

生き生きと汗を流しながらグラウンドで走っていたあなたを。
そんなあなたをよくグラウンドを見下ろせる校舎の外階段に座って見ていたっけ・・・。

好きだったな・・・。

他に何も見えなくなるくらい、あなたが大好きな野球に汗を流していたこと。
仲間との嬉しそうな顔。
一生懸命な顔。
悔しそうな顔。

どんなあなたの顔もきらきらとしていて・・・何より輝いて見えた。
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