結ばれない二人
こうして朱莉の右手を握るようになったのはあの日の罪悪感からでもある。

あの日・・・俺は朱莉を呼び出していた。
部活を時間ぴったりに終わらせて、朱莉と話がしたかった。

どうしても伝えたい言葉があった。

もう少し待とうとしたこともあった。

でも、周りでどんどんと朱莉へ好意を寄せる男子の噂話を聞いて、気が気じゃなかった俺はあの日を選んだ。

『覚えてるか?今日の約束。』
部活がはじまる前、朱莉を見つけて俺は声をかけた。
『忘れんなよ?部活、時間通りに終わらせるからさ』
そう言って朱莉に約束を忘れないように念押しすらした俺。
『大切な大切な話があるからさ』
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