結ばれない二人
こんな未来に変えてしまうのなら、あの日約束などしなければよかった。
いっそ朱莉が約束を忘れるように、あんな言葉をかけなければよかった。


まじめな朱莉は、約束よりも早く約束していた場所に来ていた。

俺が急いで部活を終わらせて、朱莉のもとに駆け寄って、朱莉に声をかけようとしたその時・・・

事故は起きた。

次の瞬間慌てて伸ばした俺の手は冷たすぎる空気をつかんで、朱莉の手は握れなかった。
『キャーッッ!!』空気を切るような甲高い叫び声が響く。

『朱莉!!』何度も何度も意識のない朱莉を呼んだ。
何度呼んでも反応のない朱莉の名前を俺は呼び続けた。
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