星屑

プロローグ

―たくさんの人で賑わう交差点

行き交う人々は足早に去っていく。


―吐く息は白い

季節はもう冬に差し掛かろうとしていた。


―ｱｲﾎﾞﾘｰ色のｺｰﾄ

首元にはﾌｧｰがまとっている


すらりと伸びた、黒いﾀｲﾂが似合う脚
華奢でｼﾝﾌﾟﾙな高いﾋﾟﾝﾋｰﾙ


いるだけで目を惹く存在感。





その女は行き交う人々を冷たい目で横流ししながら、その長く細い緩やかな髪を揺らしながら歩いていた。



―彼女も他と同様 足早に。




足早に歩く彼女に目を止める者も少なくはないだろう。



そして彼女は脇に並んでいるﾀｸｼｰに乗り込んだ。






「ロイヤルホテルまで」





冷たくそう言い放つと彼女は脚を組み窓の外の忙しそうな人をじーっと眺めた。



その目はやはり冷たく、うっすらと涙の膜がかかり


青いカラコンのせいなのか妙に澄みきって見える。