一条さん結婚したんですか⁉︎
一条氏が呼び出されて、早一時間は経過していた。
同僚等は、彼が戻ってきたら祝ってあげようと、仕事そっちのけでそわそわと待ち構える。
みなさんお仕事しましょうね?
部長不在をいい事に、一条信者等は、クラッカー片手に扉を眺めていた。
(どっから出て来たんだそのクラッカーは!!)
そして運命のその瞬間....。
外部からドアノブが回されると、息を吞む....。
「――――ぃぃやぁああ!!だめ~さっきのは冗談だってば、ごめんなさ~い!!」
開かれた扉、目の前には今日も今日とて完璧なナイスガイ。だけど、既に異変は起きていた。
氏の体にしがみ付き、行く手を阻むのは....小太り社長様!?
「ねえ辞めるなんて言わないで~。」
「「「「(え....何この状況は、)」」」」
普段は会社のトップとして、威厳を保つ社長様。
そんな社長が、一条氏に泣きついているときた!!
氏の表情は、真顔....いや寧ろ呆れてる。
「一条さんおかえりなさい。」
とりあえず、一番近くに居た同僚が声を掛けるも、背後の社長の喚き声が重なって聴こえないのなんの....。
「おう。」
「どうだったんですか?」
一条と社長の顔を交互に見た同僚は、恐る恐ると訊ねるのだ。
「オレ、会社辞めるから。」
「「「「はぁあああああ!?」」」」
―――――激震が走った。
(....一条さん、退職するってよ?んなバカな。)