一条さん結婚したんですか⁉︎
だからと言って、二人がお付き合いを始めるのは、まだまだ先の話なのです。
時は少し流れて、美郷と花ちゃんは中学二年生になりました。
「なあ、一条。隣のクラスの二条に告ったってマジ?」
「あー。マジマジ。オオマジ。今朝も記念すべき千回目の告白を花ちゃんったら、鼻で笑らうんだよ。」
「は?千回⁉︎ってか、鼻?え?花ちゃん⁉︎」
「お前が気安く花ちゃんって呼ぶなよ。一条 花様って呼べ。」
「お前、しれっと嫁にしてんじゃねーよ。」
「....チッ。勘のいいガキは嫌いだ。」
厨二病真っ只中だが、色気を増した美少年美郷は、隠キャ軍団にも馴染めないボッチな花ちゃんに夢中でございます。
そして放課後、部活動を終えた美郷は、同じく部活終わりの花ちゃんを出待ちする。
意中のお姫様の姿を見つけるや否や、猛ダッシュで駆け寄ると、露骨に嫌な顔を浮かべた花ちゃん。
だが諦めた様子で、渋々と共に帰路につく。
「....ねえ、花ちゃん。いつになったら俺のモノになってくれるの?」
「無理って何度言えば分かるのよ。それに、私はモノじゃないから。」
「だって、花ちゃん可愛いから、他のクソ野郎に横取りされたら、俺立ち直れなくなる。リスカとかしちゃうからね⁉︎包帯見せびらかすよ?いいの?病むよ⁉︎」
「五月蝿い、アンタも大概クソ野郎の一人よ....美郷。」
「....え、今俺の名前....。」
この際、花ちゃんにクソ野郎などと呼ばれた事は、聞こえなかった事にしよう。
美郷脳内フィルターでは、『愛しのダーリン』に改竄されていた。
そんな事よりっ!花ちゃんが、初めて下の名前を呼んでくれた....。それが何よりも嬉しい。
「てか、私の事を好き好き言う物好きは、アンタだけだからね?」
「うゔ....花ちゃん。やっと俺と付き合ってくれる気になってくれ、」
「いや、そうは言ってない。」
(だけどまあ....友達にはなってもいいよ。)