一条さん結婚したんですか⁉︎




 初めて好きになった女の子は、俺の事なんか目もくれない変わった子だった。

 
 
「花ちゃん....好きだよ。」



 一目惚れしてからというもの、君を落とす事に必死になってしまった。

 どうやったら君の瞳に自分が映るのだろうか。

 どうしたら君が笑ってくれるのか。

 近づけば逃げてしまう君をどうやったら捕まえる事が出来る?

 


 



 枯れ果てた俺の心に芽吹いた一輪の花。

 それを大事に大事に沢山の愛情を注ぎ続け、枯らさぬ様にと必死だった。



 人は愛されて初めて生きるのさ。
 

「俺と結婚してくれて....ありがとう。」


 愛を乞うなら、まずは自分が相手を愛しなさい。






 目の前には、心待ちにしていたウエディングドレス姿の花ちゃん。

 好き。から愛してると言えるまで、とても長い道のりだった。



「....ちょっと、みー君泣いてるの!?」

「うゔ....だって、花ちゃんが可愛過ぎるしっ、今日なんて凄く綺麗なんだもん。」


 男の大号泣なんて格好悪い。だけど今だけは、どうか泣かせてくれ。








「あの....早いところキスしちゃってください。」


 いつまでたっても誓いのキスが出来ずに居た俺達に、思わず神父から催促が入ってしまう。


「もうっ....みー君目閉じて。」


 花ちゃんに言われるが儘に従って、綺麗な君が姿を消す。


 だけど、柔らかな感触が唇へと押し当てられると、姿は見えずとも花ちゃんの姿が浮かび上がって来た。



 初めて君の方からくれたキスは、俺の涙でしょっぱい味。




 
 
「みー君....私を選んでくれて、本当にありがとう。」




 微笑む君は、太陽の様に眩しい....。











 良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで....



 







私達は愛を誓います。



(fin.)
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