必ず、まもると決めたから。
第3章 抑えられない恋心
静まり返る教室。
長い沈黙の後、あゆみちゃんが田中くんを睨んだ。
「うるさい。女同士のことに首を突っ込んで来ないで!」
「嫌がってるだろ」
「なに?田中はこの子のファンなわけ?それで助けて、この子の気を引こうって?まぁ、あんたみたいに地味な奴、クズ女とお似合いかもね」
「どうでもいいけど、ハサミを置け」
逆上したあゆみちゃんは田中くんが冷静なことが腹ただしいようで唇を噛み締める。
そしてハサミの刃先を愛ちゃんの首に当てた。
愛ちゃんはびくりと身体を震わせる。
「あゆみちゃん、止めて。お願いします」
その声も震えていた。
「……なんでよ、なんで!私が悪者みたいになるの?悪いのは全部、この女じゃん」
あゆみちゃんは叫び、ハサミを床に捨てた。
「学校にもろくに来ないくせに、みんなに良くしてもらって。それなのにみんなを、私を、裏切るように新谷くんに取り入ってさ!あんたは知ってたよね?私が中学の頃から新谷くんに憧れてるって、知ってたよね!」
「………」
愛ちゃんの目から溢れた涙が頬を伝う。
その哀しい表情すら、美しい。
そして私は、愛ちゃんのことをーー"自業自得"だと、冷めた心で見ていた。