必ず、まもると決めたから。
あゆみちゃんも今にも泣き出しそうだ。
「自習の時間だぞ、座れよ」
そう区切りの言葉をかけたのは横田くんだった。
「そいつが怪我したら、あゆみちゃんのせいになるから。そんな奴のためにあゆみちゃんが犠牲になる必要はないよ」
横田くんにそう諭されたあゆみちゃんは小さく頷いて、自分の席に戻った。
私はその場に残されたハサミをじっと見つめる。
私がもっと早く止められたら、田中くんの出番はなかったはずだ。
床から顔を上げて愛ちゃんを見れば、彼女の視線は私を通り越した先、田中くんに向けられていた。
今までのことがなかったかのように机に突っ伏している田中くんには届かなかったけれど、涙で濡れたその瞳は綺麗だった。
「千咲?どうした?」
遥に肩を叩かれて、無理矢理に笑顔を作る。
「ううん。ね、さっきの俳優さんの名前なんだっけ?」
私だけが、特別じゃないって、
本当は最初から分かってたよ。