必ず、まもると決めたから。
教室で待っていてくれた遥の元に駆け寄り、大悟のことを話してもしっくりこないようで首を傾げた。
結局、体調が悪かったということで話がまとまったけれど、
ーーしかし翌日も大悟は私の前に現れた。
「青山!」
お昼休みに廊下から名前を叫ばれ、反射的に立ち上がって「はい!」と返事をしてしまった。
大股で私の席まで歩いて来た大悟に教室中が静まり返る。
教室から出ようとしていた田中くんも立ち上がりかけた足を止めて、再び椅子に座った。
「昨日のプリントやったか?」
大悟から目を離せない。
「あ、うん」
「写させろ」
「え、」
「俺を留年させたいのか?」
威圧感たっぷりに見下ろされて、机の中からプリントを取り出すしかなかった。
そして愛ちゃんの席を借りてその場で写し始める。
想像と違い、大悟の筆跡は丁寧で達筆だった。
お昼休みだと言うのに話し声も物音もせず、大悟が文字を書く音だけが聞こえる。
私は立ったまま彼を見守るしかなかった。