必ず、まもると決めたから。
問題数は少なかったため5分程度で写し終えたが、私の体感ではそれよりもずっと長く感じていた。
「よし」
全ての答えを埋めて大悟は立ち上がった。
用件は以上だったようで、今日はお礼もなしにさっさと立ち去って行った。
「…千咲……」
「腰抜けるかと思った…」
遥と顔を見合わせて互いに安堵のため息をついた。
「……私も、武藤先生にプリント出してくる」
「あ、お昼休みが期限だもんね。いってらっしゃい」
クラスに笑い声が戻る。
いつものことと受け止めてそれぞれの会話に戻っていくが、当事者の私の心臓はまだ高鳴っていた。
「心臓に悪すぎ…」
胸を押さえながらプリントを手に取ると、田中くんが私を見ていた。
久しぶりに田中くんがこちらを見た気がする。
だけど私は、彼から顔を背けた。
田中くんと何を喋ればいいか分からなかったから…。