必ず、まもると決めたから。
それからも大悟は何かと私の元に現れて、あれこれ借りて行った。他の生徒と違い、私の貸した教科書やシャープペンなどは必ず戻って来たのでまだマシだが毎回、心臓に悪すぎる。
暴言を吐かれることも無理矢理に奪われることもなく、「貸せ」と言われて私の意思で手渡しているが、そもそも最初から選択肢は存在していない気がする。
今日もゲームソフトや読んでいる最中に漫画を取り上げられて嘆いている生徒を横目に私も溜息をついた。
7月に入っても愛ちゃんは登校して来ず、数学準備室で顔を合わせて以来、一度も会っていない。
それなのに冷たい私は心配どころか、自業自得だと思ってしまった。
一度奪われた数学のノート回収も、いつも通り私の仕事に戻ったが田中くんとは言葉を交わしていなかった。
「数学係、頼むな」
今日も先生に声をかけられて、私たちは数学準備室に向かった。