必ず、まもると決めたから。

「なんで俺があいつと勉強するんだよ」

「え?」


呆れたように田中くんは首を振った。


「あいつは京介が目当てで俺に付き纏ってただけだろ」


「…でも、愛ちゃんが私の代わりにノートを運んでも何も言わなかったじゃん。私が邪魔だったんでしょ?」


「なんでそうなるんだよ。面倒な奴だったから、余計な口出しはしない方がいいと思った。たかが、ノート運ぶだけのことで、おまえが嫌がらせされても困るし」


確かに愛ちゃんの性格上、私に嫌がらせをしてきたかもしれない。でもさ、


「私は田中くんの言うその"たかが"ノートを運ぶ時間を毎回、楽しみにしてたんだよ。唯一、田中くんと話せる時間じゃん」


こっちの気持ちを知りもしないで、身勝手すぎる。いっそこの悔しい思いにのせて勢い任せに告白でもしたら伝わる?


「……こんな時間、楽しみにするなよ。放課後でも、休日でも、俺たちはいつでも会えるだろ」


「…そうなの?」


「俺はそうだと思ってたけど」


「……」


手を伸ばして、田中くんの髪に触れる。

身じろぎされたけど、振り払われないことを良いことに前髪を横にずらした。


彼の表情が知りたいと思った。

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