必ず、まもると決めたから。
ドリンクバーにずっと立っているわけにもいかず、オレンジジュースを注ぎ、一呼吸おいて席に戻る。
田中くんはじっと私を見た。
なにを言われるかと身構えれば、テーブルの上に置いてある携帯電話を指差した。
「鳴ってた」
「あ、うん……お母さん、10時に駅に着くって…」
携帯のディスプレイに表示された時刻は9時45分。
「それ、残すの?」
「え?」
「残すなら食うけど」
「う、うん…」
最初の宣言通り、食べかけのハンバーグが乗ったお皿を自分の方へ持って行ってしまった。
そしてあっという間にお皿が空になる。
細いけど、よく食べるんだ。
私が口つけたものを異性に食べてもらうのって結構、恥ずかしい。親友なら普通のことなのかな?
「新谷ってさ、パーフェクト人間じゃん」
ペーパーナプキンで口元を拭いながら、唐突に田中くんは言った。
「俺なんか、足元にも及ばないって思ってたけど、青山の言葉聞いてなんか元気でた。そんなシュチュエーションはないと思うけど、仮に俺と新谷どっちか選べ、って言われた時に、こんな俺を選んでくれる人が居るのかもって」
「あ、うん」
「嘘でも、ありがと」
「嘘じゃないよ」
「そっか」
新谷くんと話すよりも、田中くんと話す時の方がずっと、私は楽しいから。